畜産と食品のトピックス (畜産と食品の安全性をめぐるニュース、コメントなど)
2. 病原性微生物の話  
人類は果たして、ウイルスに勝てるか
人に寄生する人ウイルス

本来「人ウイルス」は人にだけ寄生し、人から人へと渡り歩いて増殖します。
しかしウイルスにとって困ったことは、人や動物は一度ウイルスに感染すると、その病気に対し免疫抗体を持つことです。そうしますと宿主にはなれません。

そこで免疫のない人を懸命に探します。もし免疫のない人がいますと、
その体内に取り付き、激しく増殖します。小さな赤ちゃんや子供、歳をとって免疫力の落ちてきた老人などが格好の宿主になります。

ウイルス性病気の中に、すでにワクチンが開発され、使用されているものが多く、それらの病気のウイルスは増殖しにくくなっています。
さらに徹底的にワクチンで防疫を図った病源ウイルスは、繁殖場所がなくなり、地球上から消え去ったといわれるものもあります。代表的なのは「天然痘」です。

ただ人類は新しいウイルスや未解決の病気発生との戦いに日夜苦しんでいます。

エボラ出血熱、マレーシアで発生したニパウイルス、ラッサ熱ウイルスなどなど 数え切れない新興ウイルスが解決されないままあります。

解決されない代表として、エイズがあり、肝炎ウイルスがあります。
さらにガン、腫瘍に繋がるウイルスも解決されてません。
最も身近なところでは、風邪のウイルス、その親分のインフルエンザも根本的な解決策はありません。
流行するウイルスが年によって異なることが難しさになっています。

皆さんもご承知と思いますが、この中のエイズウイルスは、さらに困った対策が難しいウイルスです。
それは感染者の免疫生産機能の細胞の中で好んで増殖し、免疫産生能力にダメージを与えるからです。

それがため、他のウイルス性疾患、細菌の感染などを、防ぎにくくなってしまうから問題なのです。
もちろんワクチン開発も難しいです。

このエイズウイルスは、もともとは猿の感染ウイルスだったようです。
それがなぜ人間の病原ウイルスになったかは定かでありませんが、人に感染するウイルスは、人だけにという定義から外れます。
このように最近、動物に一度感染、その体内細胞の中で変異して、人間に感染しやすい遺伝子に、組み変わるケースが起きてきているようです。

もっとも歴史的に言えば、この地球上でのウイルスや細菌は、何回も発生したり、消滅したり、変異を重ねたり、動物との間でキャッチボールされたとおもいます。

インフルエンザウイルスの豚や鶏経由説、ニパウイルスのこうもり由来、ウイルス仲間としてみた場合の狂牛病なども、そのなかに入ります。
動物ウイルスが変異して人に感染する中に、目下猛威を振るっているSARSもあるのではないかと言われています。

SARSのウイルスは検出、遺伝子も解読されたようですので、 この病気の対応策も近いうちに必ず出来ると思います。
ワクチンでも、特効薬でも早い開発が望まれますが、それまでは感染の危険は避けられません。

私は畜産関係の経験は長いです。
その経験でいいますと、法定伝染病で治療不可能な感染力の強い病気は、感染動物全て、 あるいは感染の可能性のある同じ建物に同居していた動物全てを殺処分して感染を防ぎます。
この方法が最も確実に病気撲滅の方法になります。

病原菌を根絶やし(eradication)することで、周囲への感染拡大を防ぎます。
ワクチンがないものは勿論、法定伝染病の多くがこの方法を取ります。
しかしそれは動物の世界の話で、人間はそうはいけません。(続く)

 

      2004/5/17
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