|
しかし今回のような、法定伝染病の発生があった場合は違ってきます。
各国はそれぞれの法律に従って、輸入を差し止めることができます。
それは必ずしも人間への感染を防御するものでなく、あくまでも家畜の感染被害が 起きないための目的が優先します。
牛豚の法定伝染病の「口蹄疫」などは慢性的に発生が認められている国からの畜肉の輸入は、長いこと禁止されています。
鶏インフルエンザにしても、 過去に何回も発生を見たアメリカ、中国、ヨーロッパ諸国などからは、 その都度、病気が治まるまで輸入禁止の処置を行っています。
今回が初めてではなく、多くの消費者が知らない輸入禁止は数多くあります。
ただ今回は、センセーションになりました。
それはこのウイルスが人間に感染し死者まで出したこと、 東南アジア始め感染国での被害の広がりが、想像を超える大きさであったこと、
さらに輸入禁止による鶏肉市場や、レストラン食堂などへの影響 でした。
いずれにしても、人間への感染を危険視しての処置とは本来違います。
しかしBSE(牛海綿状脳症)発生国からの牛肉輸入禁止は、人間への危害発生を防ぐ目的で行われたものです。
そもそも鶏インフルエンザとBSEとは、病気の性質が違います。
インフルエンザはウイルスによる感染症で、あらゆる経路で感染の危険が考えられる伝染病ですが、 BSEは感染した動物の脳、脊髄、腸など危険部位にあるプリオンタンパク質を、
飼料として摂取しなければ、感染発病をすることはありません。
同じ家畜伝染病に指定されていますが、インフルエンザよりずっと守りやすい病気です。
さらに病勢鑑定の方法が確立し、目下わが国では生産された全ての牛の検査を行い、 感染の有無を調べ、市場に供給されているので一応安心です。
ところで巷の話題は、市場から牛丼や安い焼肉がなくなることです。
ご承知のように安くて美味しい肉を提供していたアメリカのBSE発生がとんだ社会問題までに発展しそうです。
社会問題を越えて政治経済、食文化にまで波及しそうです。
こんな市場動向が「輸入食品に頼る日本の食料生産に問題の本質がある」として、 にわかに国産品の需給率を高める意見が増えていますが、
これだけ輸入畜産物がすっかり浸透した日本市場は変わるものではないでしょう。
今は現実に沿って判断することの方が、実際的だと思います。
ただ日本人はいつから、健康に対する観念が異常に高くなったか分かりませんが、神経質すぎるかなとも疑います。
牛肉にしろ、検査制度を全て日本式に合わせたら全て安全なのかといいますと、そうとは言い切れません。
それより肉食習慣の高いアメリカが、自国民に自信を持って提供している牛肉の安全確認を、 日本政府の検査官が再度検証することにより、解決できるような気もいたしますし、
広いアメリカの牧場が全て危険地域かどうか の判断も大切でしょう。
この国別の輸入禁止の法律は一面正しく、一面硬直した考えとも思えます。
国際的に人々が瞬時に航空機で移動する現代、食肉の輸入禁止でだけで全ての病気が防疫できるとは思われません。
それより、新しい病気の予防はもっと広く論議の必要があるでしょう。
次回はそんな観点から問題を考えましょう。
|